人はどのくらい寝るのが良いのか?
先日良い睡眠に必要な、セロトニンとメラトニンの原料となる、トリプトファン摂取の重要性について記事にしました。今回は純粋に人はどのくらいの睡眠時間を取るのがベストなのか?について、年齢や遺伝的要因をふまえながら考察していきたいと思います。
推奨睡眠時間
まず初めに、人類の永遠の疑問である理想の睡眠時間についてですが、性別、年齢、基礎代謝量、疲労度等の複合的要素で決まってくるものなので、現在の医学では簡単に測定できるものではない、というのが正しい見解になります。勿論「8時間寝るべき」と言う専門家もいれば「4時間30分で十分」という偉い先生もいます、しかし、個人差がある…というのが結局のところなのです。
個人差があるのはわかっているけれど大まかなデータが知りたい、という人のために「睡眠時間と死亡率の関係」を調べた大規模データを参考にしてみましょう。
このデータによると最も死亡率の低い睡眠時間が7時間であることから、敢えて言うなら理想の睡眠時間は7時間であると言えます。
※参考文献: 研究成果の紹介 (hokudai.ac.jp)
年齢別推奨睡眠時間
そして年齢別にも一応推奨睡眠時間というのは存在します。特に小中学生やそれ以下の小さな子供たちは大人に比べて長い睡眠時間を必要とするので、意識してしっかりと睡眠をとるようにしましょう。
- 10歳まで 8~9時間
- 15歳 8時間
- 25歳 7時間
- 45歳 6.5時間
- 65歳 6時間
睡眠時間が少ないと
睡眠時間が少ない時の弊害
集中力の低下
睡眠不足が続くと日中の慢性的な眠気が生じ、疲れやすさ、注意力の低下、イライラ感などが起こって、総合的に集中力が低下し、日常生活に支障が出てきます。
生活習慣病の増加
不眠のある人、睡眠が極端に短い人や長い人では、糖尿病、高血圧、脂質異常症といった生活習慣病が起こりやすいことがわかっています。
鬱病リスク
正確なメカニズムは不明ですが、データとして、不眠のある人や睡眠が極端に短かったり長かったりする人は鬱病になりやすいこともわかっています。
肌への影響
睡眠時間が短すぎると分泌される成長ホルモンの量が少なくなり、ターンオーバーが乱れます。すると肌の生まれ変わりが滞り、肌の調子が悪くなってしまいます。
ショートスリーパー
これまで述べてきたように睡眠時間が足りないと人は様々な弊害を生じます。しかし、睡眠時間が短くても問題なく健康的な生活を送っている人たちがいます。いわゆるショートスリーパーといわれる睡眠時間が6時間以下(主に4~5時間)の人たちです。
睡眠というのは、浅い眠りであるレム睡眠と深い眠りであるノンレム睡眠が交互に行われています。レム睡眠は、身体は休んでいるが、脳は起きている時の状態のことで、脳が覚醒しているため眠りは浅く、夢を見るのもこのレム睡眠の時です。一方、ノンレム睡眠とは、脳も身体も熟睡している状態のことを言います。
ショートスリーパーはレム睡眠の時間が短いため、少ない睡眠時間でも健康を保つことができるといわれています。
ショートスリーパーはどんな人に多い?
性格的には外交的で失敗してもあまりくよくよ考えない前向きな人がショートスリーパーの傾向が強く、大企業の社長やワーカホリックな人に多いようです。
睡眠時間が長すぎると
睡眠時間が多すぎるときの弊害
腰が痛くなる
睡眠時間が長いと、ずっと同じ姿勢でいる時間も長くなる可能性があるため腰に負担がかかり、腰の痛みにつながる可能性が高まります。
眠りが浅くなる
前述したように、睡眠というのは、浅い眠りであるレム睡眠と深い眠りであるノンレム睡眠が交互に行われているものです。睡眠時間が長いと、浅い眠りであるレム睡眠の割合が大きくなり、全体的な睡眠は浅くなります。夜中に何度も目が覚めたりするのはこのことが原因です。
ロングスリーパー
ショートスリーパーとは対照的にロングスリーパーとよばれる人々も存在します。主に大人で1日に9時間以上の睡眠を必要とする人たちのことをそう呼びます。
障害として扱われる過眠症と、ロングスリーパーは別物で、過眠症の場合、9時間、10時間睡眠をとっていても、日中に疲労感があり、昼寝を必要としますが、ロングスリーパーの場合は、十分な睡眠をとることが出来れば、日中の眠気や疲労感等を感じないとされています。ただ、ロングスリーパーの症状は睡眠障害と捉えるべきかどうか、国際的に検討している段階だそうです。
ロングスリーパーはどんな人に多い?
ロングスリーパーの人は、内向的でいつも反省しているような繊細なタイプに多く、芸術家などに多くみられるそうです。
まとめ
人のベストな睡眠時間に対しては昔から様々な考察がされてきました。8時間が良いと言う人もいれば4時間半で充分だと言う人もいて、意見はバラバラですが、大規模な実験データによると一番死亡リスクが低かった睡眠時間は7時間だそうです。
また年齢による推奨時間の違いもあり、年齢が若ければ若いほど必要とされる睡眠時間も長くなります。睡眠不足はあらゆる弊害を招くので意識して必要な睡眠時間を取るように心掛けましょう。
睡眠時間は年齢以外にも、その人の性別、基礎代謝、疲労度、遺伝など様々な要因によって決定付けられるので個人差がとても大きく一概にこれがベストな睡眠時間だと言えるものはありません。日頃からどのくらい寝ると自分はスッキリと疲労感無く目覚められるのか、自分自身と見つめあいながら、ベストな睡眠時間を探っていくことが大切です。