歯科衛生士に歯磨き粉をつけたまま寝ろと言われた話
今日は歯科の定期検診に行った時の話をしようと思います。
驚いたことに、担当の歯科衛生士が、毎日の歯磨きの後、歯磨き粉をゆすがないでそのまま寝てください、と指導してきたのです。
歯磨き粉に配合されているフッ素を歯に定着させる目的とのことですが、フッ素ゲルならともかく歯磨き粉をそのままゆすがずに寝て問題無いのかしら？と半信半疑に思い、その後いろいろと調べてみました。
フッ素配合の歯磨き粉は口の中に残ってるほど良い？
虫歯のメカニズムは？
虫歯は、口の中にいる細菌が引き起こすと言われていますが、食べ物や飲み物に含まれる糖質をエサに、ミュータンス菌などの虫歯菌が酸を作り出し、その酸が歯に含まれるカルシウムなどを溶かしてしまうのが虫歯です。
殆どの歯磨き粉はフッ素配合
フッ素が虫歯予防になることは皆が知るところですが、現在販売されている９割の歯みがき粉にはフッ素が配合されており、手持ちの歯磨き粉がフッ素配合かどうかを調べるには、商品の原材料名を見ればわかります。
「フッ化ナトリウム」または「モノフルオロリン酸ナトリウム」と記載されていればフッ素が配合されているのです。
フッ素は口をゆすぎすぎると流れてしまう
よく歯を磨いた後に、これでもかと口を何度もゆすぐ人がいますが、実はこれはせっかく配合されているフッ素が流れてしまうため、NG行為なのだそうです。
疑うわけではないけれど実践する前に調べてみた
歯につけたまま寝るタイプのジェルのフッ素濃度は？
歯科医院などに良く置いてある子供用の歯磨き後につけるフッ素ジェルですが、これは洗い流さない（もしくは軽くゆすいで）寝るタイプなので、フッ素入りの歯磨き粉をつけたまま寝るというのはこれに近い感覚なのかもしれません。
このフッ素ジェル、例えば ライオンのチェックアップジェルはフッ素濃度が、グレープ／ピーチ／レモンティーが950ppmF で、バナナが500ppmFです。950ppｍFが6歳以上ティーンエージェー迄のイメージで、500ppmFがそれより小さな子向きです。
これは子供のフッ素ジェルであることを考えると、通常大人用の歯磨き粉に含まれる最大量のフッ素は1450pmFなので、恐らく歯磨き粉をつけたまま寝てもフッ素のつけ過ぎにはならないでしょう。
フッ素の取り過ぎは体調を壊す？
日常的なフッ素の必要性は強く言われていますが、一方で、実はアメリカの水道水などには虫歯を防ぐ為なのか、予めフッ素が配合されていて、これが一部で問題視されています。
何故ならフッ素は一度に過剰に摂取したり、長期間に渡って大量に摂取し続けたりすると、悪心・おう吐や、歯や骨に異常が出るなどの中毒症状が起こることが報告されているからです。
そのため、海外ではフッ素摂取量の上限を決めている国もあります。
どの位のフッ素量が危険？
因みにアメリカの医学研究所が1997年に発表したフッ素の摂取許容量は９歳以上で、１日１０mgだそうです。
歯磨き粉に含まれるフッ素量
これに対し、歯みがき粉２cm（約１ｇ）に含まれるフッ素の量は、およそ１mgですので、歯磨き粉をつけたまま寝る歯みがき法を１日数回行ったとしても、口に入れた歯磨き粉の殆どは吐き出されるでしょうし、フッ素による悪影響は出ないと考えてよいでしょう。
以前、ためしてガッテンにも紹介された？
スウェーデンの研究チームによる研究結果がある
実は２年以上前に、この歯磨き粉を残したまま寝る歯磨き法が、ためしてガッテンに紹介されたそうなのです。
番組に紹介されたのは、１９９５年にスウェーデンの研究者たちが行った“イエテボリ テクニック”と呼ばれる新たな歯みがき法です。
実験によると、通常の歯みがき方法と比べて虫歯の予防効果が４０％以上高いことがわかったのですが、その最大の目的は、歯みがきの後に口の中にフッ素を残すこと、つまり歯磨き粉をゆすがないで寝ることなのです。
以下、番組で紹介されていたスウェーデンの歯科医院などで指導されている歯みがき方法のポイントを紹介します。※対象年齢は１２歳以上です。
＜ポイント1＞
フッ素配合の歯みがき粉をたっぷりと使う（目安は２ｃｍ）
＜ポイント2＞
歯全体に歯みがき粉が行き渡るように意識して２分程度歯みがきを行う
＜ポイント3＞
口の中の泡などをしっかり吐き出したあと、口をゆすがない
ゆすぎたい場合は水を少量にして、回数も少なくする
＜ポイント4＞
歯みがきのあと、２時間飲食をしない（最低でも３０分）
ライオンの歯磨き指導では少量の水で一回ゆすぐ？
スウェーデン式歯磨きの一方で、日本の歯磨き粉で有名なライオンのホームページには下記のように歯磨き法が記されていますが、スウェーデン式の「ポイント３」のゆすぎたい場合は水を少なくする、と同じであることがわかります。
ハミガキ剤を吐き出したあと何度も口の中をすすいでしまうと、口の中に残るフッ素の量が少なくなってしまいます。
そこで、歯磨き後は5～15mlの少ない水で５秒間程度ブクブクと1回だけすすぐことをおすすめします。また歯磨き後は1～2時間は飲食を控えると効果的です。
（参考URL）フッ素を“長く残す”習慣を!｜歯の健康基礎知識｜ライオン
まとめ
いかがでしたか？私も初めて聞いたときはビックリした歯磨き法ですが、実はスウェーデンでは推奨されていて、通常量で行う場合はフッ素量も安全域であり、虫歯予防にもなり、お勧めの磨き方であることがわかりました。
因みにその歯科衛生士は20年近くその磨き方を続けていて虫歯がゼロなんだそうです。
私は次の定期検診日まで、毎日歯磨き粉をつけたまま寝てみると、担当の歯科衛生士と約束したので、是非今日から歯磨き粉をゆすがないで寝てみようと思います。
貴方も若し興味があれば、この歯磨き粉を洗い流さない歯磨き法を実践してみて下さい。虫歯ゼロの健康な歯が手に入るかもしれませんよ。
