パワーナップ・積極的仮眠のすすめ
パワーナップとは
パワーナップとは一般的に15 – 30分程度の短い仮眠のことを言います。この用語は社会心理学者であるジェームス・マースによる造語で、時間あたりに対する睡眠の効用を最大化する睡眠法とされており、別名キャットナップとも呼ばれています。
短い仮眠がお勧めの理由
人の体は生体リズム的に昼に少し眠くなる
昼食を食べてしばらくしたころでしょうか?眠気に襲われて、ウトウトした経験は誰にでもあると思います。これは昼食で血糖値が急上昇するのが一因ですが、もう一つ大きな理由があります。それは生体リズムです。
人は夜中の午前2〜4時頃とお昼の午後2〜4時頃に眠気のピークが訪れるように体内時計が設定されているのです。つまり、昼下がりに眠気が訪れるのは、動物の本能なのです。我慢して仕事や勉強を続けても、効率は落ちるばかりです。昼間に一時的に仮眠をとることは理にかなっており、スペインのシエスタに見られるように文化的にも昼寝の時間を取り入れている国は沢山あります。
入眠時の軽いノンレム睡眠が平均20分ほどである
このパワーナップですが、わずか20分ほどで夜の睡眠の3倍の効果があるとされています。なぜ、ここまで効果があるのかと言うと、それは入眠時に訪れるノンレム睡眠(深い眠り)に秘密があります。
人の眠りにはレム睡眠とノンレム睡眠があります。レム睡眠は大まかに言うと「身体を休ませる」睡眠でノンレム睡眠は「脳を休ませる」睡眠と言われています。人は寝つくとまず浅い睡眠(ノンレム睡眠ステージ1、2)を経て、深い睡眠(ノンレム睡眠ステージ3、4)と移行し、その後再び浅い睡眠になりレム睡眠に入ります。
通常人はこのサイクルを一晩で4~5回繰り返しており、深い睡眠は睡眠の前半に集中していることが知られています。神経科学者マシュー・ウォーカーの研究では、入眠20分ほどで訪れる軽い睡眠レベルの「ステージ2」あたりで、脳内の“キャッシュ・メモリ”がクリアにされて、情報を整理・記憶したり、優先順位をつける脳のワーキングメモリが強化されることが明らかになっています。
これがパワーナップで、頭がスッキリしたと感じる理由の一つです。ただし、仮眠が30分以上になると、ステージ4に向かって睡眠が進み、深い眠りに到達してしまいます。すると、寝覚めが悪く、起きてからもボーッとした状態になるのです。よってパワーナップは20分前後の短時間で済ませることが、スッキリ目覚める最大の秘訣となります。
パワーナップのベストなやり方
横にならずにうつぶせのような形で寝る
パワーナップのベストな寝方は机の上でうつぶせになったり敢えて座った姿勢で寝ることです。それにより程よく交感神経が刺激されて深い眠りに入って行くのを防ぐことができます。
あくまでも上記のノンレム睡眠ステージ2あたりで目覚めることを目標としているショートナップなので快適すぎる場所での睡眠は不向きとなります。
コーヒーを飲んでから寝る
このパワーナップと特に相性が良いのはコーヒーです。コーヒーの中のカフェインは覚醒効果で知られていますが、その効果は飲んでから吸収されて発揮されるまでに20分から30分のタイムラグがあります。
このタイムラグをうまく利用して、パワーナップの直前にコーヒーを飲むと目覚める時間に調度スッキリと覚醒効果がおこって目覚めが良くなるのです。
寝すぎないようアラームをして寝る
机にうつ伏せてコーヒーを飲んでも、油断をすると人はついつい長時間眠ってしまいます。パワーナップはあくまで短時間の仮眠による脳内キャッシュをクリアにすることが目標ですから、必ず寝すぎないようにアラームを設定してから寝ましょう。
パワーナップを習慣化して変わったこと
私は数年前から生活の一部にこのパワーナップを取り入れています。
昼食を食べて片づけをして落ち着いたころ、コーヒーを入れてリビングのソファーの定位置に座り、遮光カーテンを少ししっかりめにしめて、ひじ掛けに寄りかかりながら20分ほど呼吸を意識しながら目を閉じます。
携帯のアラームで目を覚ますのですが、しっかり寝れた感じがするときも、ただ目をつむっていただけだった時も程度の差こそあれ、頭はスッキリとして気分はとても良いです。
私は長時間運転の時などもこのパワーナップを適度に取り入れるようにしています。生活の一部に意識してパワーナップを取り入れるだけで、生活のパフォーマンスがとても上がり時間管理が上手になったように思います。
結論
パワーナップとは30分以内の短い仮眠のことであり、脳を休ませるノンレム睡眠の眠りの浅いステージ2辺りまでを狙った睡眠法です。そのため深い眠りになる前の30分以内に目覚める必要があります。
深すぎる眠りにならないために座位で眠ったり寝る前にコーヒーを飲んだりして、工夫しながら必ずアラームをかけて寝るようにしましょう。
生活の一部にパワーナップを取り入れると仕事や勉強の効率がとてもよくなるので、やってみたことのない方は是非一度取り入れてみてください。