オフプライスストア(ディスカウントストア)とは?
今日は私がアメリカ在住時に、パトロールの様にしょっちゅう出入りしていたオフプライスストアについて話をしたいと思います。
アメリカ在住歴のある人ならだれでも知っている身近な店ですが、有名どころはTJ-MaxxやMarshalls、Rossなどです。ハワイなどにも店舗がある為、旅行で足を運んだことがある人も多いのではないでしょうか?
掘り出し物が宝探しの様に見つかり、同じものには再び巡り合えないのが、オフプライスストアでのショッピングの醍醐味です。
オフプライススストアとディスカウントストアの違い
ブログやネット記事などで、オフプライスストアをディスカウントストアと表現する人も多くいますが、正確に言うとディスカウントストアとは定義が少しばかり違います。
ディスカウントストアとは大量に計画仕入れしたナショナルブランド商品・ストアブランド商品・プライベートブランド商品などを、計画数量売り切ることで低価格を実現したものや、計画発注や大量仕入れによる仕入れコストの引下げ,店舗投資の圧縮,顧客に対するサービスを抑えることによって,低価格を実現している店舗のことを言います。
オフプライスストアとはディスカウントストアの一種ではありますが、ディスカウントストア=オフプライスストアではありません。オフプライスストアは各企業の廃棄処分されそうな余剰在庫を格安で引き取ってブランドごちゃまぜで1カ所に集めて売るスタイルのお店のことを言います。
オフプライスストアとアウトレットの違い
ブランドの在庫品を安くするという点で、オフプライスストアとアウトレットの区別がついていない人もたまにいます。
アウトレットとはもともとは工場がB級品(または傷物、不良品)の現金化を目的として隣接して営業する直売所のことを言い、オフプライスとは発祥が異なるし、厳密には取り扱う商品の性質が異なっています。このアウトレットをひとまとめにするショッピングセンターが登場して人気を博したことで言葉が一般化し、オフプライスでは言葉のインパクトがないからアウトレットという名称を使う企業が増え、線引きがあいまいとなって今に至るのだそうです。今ではアウトレットではB級品だけでなく余剰在庫も売っているのでより線引きはあいまいになっています。
しかし、アウトレットでは各店舗が自社のブランドだけを安く販売するために、商品の種類が少ないという点がオフプライスストアと明らかに違います。
もともと、オフプライスというアイディアは米国百貨店のマーシャルフィールド(MARSHALL FIELD)が1879年頃に始めたもので、これを本格的に独立ビジネスとしたのは1909年に開業したファイリーンズ・ベースメント(FILENES BASEMENT)だと言われています。当時は百貨店の地下でコモディティ商品の過剰在庫を集荷して安く売るビジネスモデルだったのですが、これが衣料中心へとシフトして進化していったのがオフプライス業態なのだそうです。
オフプライスストアとブランドイメージ
オフプライスストアでたたき売りをするとブランドイメージに傷がつくのでは?と考える人も少なくないでしょう。オフプライスストアではプロモーションはブランド単位ではやらないし、広告もブランド単位では出しません。陳列もブランド訴求はあまりしないなど、ブランドを前面に出さないから、ブランドメーカーは安心してオフプライスストアと取り引きできるのだそうです。
このことは米国のオフプライスストア(TJ-MaxxやMarshallsなど)がネット通販をやらない理由の一つとなっているといいます。ネット上では簡単に価格比較ができてしまうので、ネットでたたき売りをされるとブランドメーカーが困るからです。オフプライスストアは常に取引先であるメーカー側のブランドイメージを壊さないように気をつけているのです。これが商売のWin-Winの秘訣なのでしょう。
アメリカの有名なオフプライスストア
TJ-Maxx
TJ-Maxxは最も有名な米国のオフプライスストアの一つです。ラルフローレン(RALPH LAUREN)の最大取引先はTJマックスだという話は業界ではよく知られた事実だそうです。TJ-Maxxは全米のどこに行ってもあると言っても過言ではないほど数多くあります。私はワシントンDC郊外に住んでいた時に、近所にTJ-Maxxがあり、たまに行っていました。ラルフローレンだけでなく、カルバンクラインやUGGなどあらゆる商品が所狭しと並べられていたのを覚えています。
Marshalls
Marshallsは数年前にTJ-Maxxが買収したことで、今は同じ会社である為か、比較的品ぞろえや店の雰囲気がTJ-Maxxと似ています。私がシカゴのダウンタウンに住んでいた時、徒歩圏内にMarshallsがあったので、しょっちゅうパトロールという名の宝探しをしていました。米国でもアウトレットモールはあまりダウンタウンのど真ん中などに店を構えませんが、オフプライスストアは構わず都会のど真ん中にあるので、とても重宝しました。
Ross
Rossはハワイだけでなくグアムにもあるので、行った事があるという人はとても多いのではないかな?と思います。RossはTJ-Maxxなどに比べ、すこしカジュアルな商品が多いイメージです。どちらもオフプライスなのでカジュアルも高級も無いでしょ?と言いたくなるかもしれませんが、何店舗か足を運ぶと、微妙にその違いもわかってきたりします。
Nordstrom Rack
Nordstrom Rackは百貨店のNordstromがやっているオフプライスストアです。こちらも同じく、昔私が住んでいたシカゴのダウンタウンの徒歩圏内にあったので、よく足を運びました。私感ですが、百貨店のオフプライスストアだけあって、すぐ近くのMarshallsより値段設定が高めな気がしました。そして商品も気持ち新しい感じがしたのを覚えています。そして当然ですが百貨店だけあって、オフプライスストアでありながら、ほんのちょっと高級感がありました。
Nordstrom Rackはオフプライスストアにしては珍しく、ネット通販もしています。個人的にNordstrom Rackの価格は百貨店のバーゲン価格位なので、ネット通販をしてもギリギリ取引先のブランドイメージを崩さないのかな?と思います。(TJ-MaxxやMarshallsあたりは、やりすぎに安いので)
まとめ
いかがでしたか?アメリカに旅行に行った際は是非とも訪れて欲しいのがこのオフプライスストアになります。オフプライスストアは都会のど真ん中や観光地のど真ん中でも意外と見つかるので、アメリカを訪れる機会のある人は是非事前にチェックしてみましょう。
日本では長年このオフプライスストアというビジネスモデルは受け入れられずに来ましたが、近年では少しずつ米国のオフプライスストアに似たような店ができてきているようです。
オフプライスストアは在庫を持たないタイプのビジネスモデルなので、同じものに再び会うことがありません。そこもまた、消費者に今買いたいと思わせるポイントなのでしょう。何か目的のブランドの欲しい商品があって、それを買いに行くというのは難しいですが、例えば冬物のダウンが欲しい、くらいの要望しかない場合は、迷わずオフプライスストアに足を運ぶことをお勧めします。