娘に連れられて竜とそばかすの姫を見に行った話
先日テストあけで羽を伸ばしたくなったのか?娘が映画を見たいというので、彼女に連れられて、「竜とそばかすの姫」を見に行きました。今日のブログはこの映画の感想と、私なりの解釈を書いていこうと思います。
全く前評判もストーリーも監督も知らずにただついていった
この映画は今人気のアニメらしいのですが、ズバリ私はこの映画のことは何一つ知りませんでした。正直監督の名前すら知らず、監督の過去の作品を聞いて、ああ、聞いたことある作品だね、くらいの認識でした。
ですから、全く先入観がない、期待値も無い、そもそもあまり興味すらなかった白紙の状態の人間の感想ということになります。
大体のストーリーを解説すると(多少ネタバレ含む)
この映画の大体のストーリーを解説すると、主人公は、すずという名の平凡でそばかす顔の高知県に住む女子高生です。彼女の母親は彼女が小さい頃、知らない子供を助けようとして死んでしまいました。すずは母が自分を置いて行ってしまったことを受け止めきれないまま大きくなっていきます。大好きだった歌も心を閉ざして歌えなくなってしまいます。
そんな時に親友のヒロから勧められた近未来アプリ、仮想世界Uへ入り込みます。このUというアプリは50億人がダウンロードしている仮想空間へいざなってくれる近未来アプリです。すずはUの世界でBellという名の歌姫になり、母への想いを“歌”という形で解放し、人気が爆発します。
そしてすずはUの中で追われる野獣男、竜と出会います。彼は集団のルールや常識を介さない暴れ方をするためにUの世界で追われていました。竜の意志の強さや瞳の奥底に見える悲しさ、人を信じない心に気づき、Bell(すず)は彼の存在が気になっていきます。このシーンがとても美女と野獣とリンクしていて、ディズニーの許可は得ているのかしら?とちょっと勝手に心配になったほどです。
それでまぁ、これ以上喋り過ぎると完全ネタバレになるのである程度省略しますが、簡単に要約すると、すずは現実世界で竜を探し出すことに成功し、現実世界で孤独下にある彼を助けに行くという話です。
アラフォーの私から見たこの映画の感想
とりあえず近未来的で時代を感じた
私はこの映画を見て、加速度的に動いていく時代を感じずにはいられませんでした。それくらいこの話は近未来的であり、本当にあと10年、いや下手したら5年後はこんな世界になっているかもしれないと本気で感じたほどです。
歌と声優
Adoなど、インターネットでブレイクするアーティストが出る現代ですが、インターネット世界における歌にも力を入れるなど、この映画には新しい試みもみられます。
声優陣は、最近のアニメらしく芸能人が多いのですが、主人公の「すず」役には、中村佳穂という知る人ぞ知るようなアーティストを起用しています。あまりに歌が素晴らしかったので、あとでネットでググったのですが、中村佳穂さんのあまりの普通っぷりに逆にびっくりしました。アイドルでもなく派手顔のアーティストでもない、普通の子の中から発掘された主人公、しかし一旦歌いだすと驚くほど存在感を増す、まさにすず役にふさわしい人選ではないでしょうか。
ちなみに、その「すず」の親友役には音楽ユニット「YOASOBI」のボーカル幾田りらが起用されていますが、彼女の声優っぷりはホントに素人?と思える位素晴らしいものでした。
ストーリーの核を独自解説(※個人の感想です)
さてさて、前置きは長くなりましたが、わたしなりのこのアニメの解釈を話していきたいと思います。予め言っておきますが、私は全くアニメは詳しくありません。前述したように何の先入観も前情報もなくいきなり見た素人の感想です。
私はこの話の核となるところは、「母の死をのりこえること」だと思います。正確に言うと、少年少女がいかにして母の死を乗り越え、いかにして人を信じる勇気を持つかが描かれています。竜もすずも現実世界では母を亡くした子供であり、すずは母を亡くしながらも、無骨ながらも優しい父に見守られ、友達思いの仲間や優しいコーラスのおばちゃんたちに囲まれて、自然豊かな高知の田舎で、コンプレックスを持ち、おそらく経済的には恵まれてはいないが、それなりに幸せに育ちます。
一方で竜は支配欲の強い世間体ばかり気にする虐待癖の有る傲慢な父親の元、殴る蹴るの虐待を受けて育ちます。竜は都会の高層ビルのあるおそらく裕福な家で育っていますが、周りには助けてくれる大人はおらず、人を信じることができず、すさんだ瞳をしています。
母親の死、「欠けた」家族から映し出される父の在り方、大人の在り方、友愛、家族が残したものを題材によく作り込まれた良い作品だと思いました。
ちょっと突っ込みどころもあった
全体的にほぼほぼ満点をつけたいくらい良く出来た作品で、特に中村佳穂さんの歌とアニメの勢いがものすごくマッチしていて、それだけでミュージカルを見るようで、映画館に足を運ぶ価値のある作品だと思います。
しかしながら敢えて突っ込みを入れると、突っ込みどころもチョイチョイありました。「アカウント50億!の中から1つを見つけ出す」という非常に困難なミッションが本作の肝になるわけですが、この高すぎる設定が何故か年の近い日本人同士とか…。まあ絶対ないとは言えませんが、歳が近いのは設定上仕方がないとして、せめて国境は越えて欲しかったなぁ…と、勝手に思ってしまいました。
他にも、東京行ったけどあれで兄弟を救えたのかな?とか、制服で着替え持たずに雨の中こけてビショビショになったのにその服ずっと着てるの?とか、そもそも高知から電話して48時間以内の保護が無理っていうのもよくわからないし、児相の48時間ルールって虐待通報があったら48時間以内に急いで子供の確認をしろってやつで、48時間は確認できないってわけじゃないから普通に児相の人に急いで助けに行ってって言ったら高知から東京行くより早いでしょ?とか、女子高生が一人で東京行く意味もわからないし、コーラスのおばちゃんのうちの一人若しくは父親がついていかない?普通の大人なら・・・などなど。
まあこれらの突っ込みどころは大雑把な私は全て、アニメだからいっか!・・・で飲み込んでしまいましたが、気になる人は気になるかもしれません。
まとめ
だらだらと色々書いてしまいましたが、私にとってこの映画はここ最近見た映画の中では断トツに良いものでした。ハッピーエンドでありながら考えさせられるものもあり、映像美や音楽の素晴らしさなどもありました。これぞ大人が見ても楽しめるアニメです。
自分が良く知らない監督の作品(細田監督はとても有名な方みたいですね、スミマセンこの分野は無知なんです!)にもかかわらず、こんなに楽しめたことにびっくりして、日本のアニメはレベルが高いんだなぁ、と改めて感心させられました。