イマジナリーフレンドって何?
イマジナリーフレンドとは、幼少期~思春期の子供に多く見られる空想の友達のことです。ひと昔前の育児書などには、それは子どもの未熟さによるものであり、現実と空想を混同しているなどと書かれていたりします。しかし最近の研究によると、イマジナリーフレンドを持つことは通常の発達過程の一部であることがわかってきました。
北米の研究では、3歳~7歳の子どもの半数程度がイマジナリーフレンドを持つことがわかっています。幼いころのことは幼児期健忘のせいで忘れている人が多いため、イマジナリーフレンドを持つ人が実際の数より少数のように感じてしまうのです。
いずれにしても、子どもが空想の友達と話していたとしても、なんら驚くべきものではありません。因みにぬいぐるみに話しかけたりして、それに人格が与えられている場合にも、空想の友達だとみなされる場合がありますが、イマジナリーフレンドはあくまで目に見えない存在なのでそのようなぬいぐるみの擬人化とは別問題だそうです。
イマジナリーフレンドがいる子供はどんな子供?
イマジナリーフレンドと精神的疾患は全く関係が無い
以前はイマジナリーフレンドは解離性障害や、統合失調症、発達障害と関係があるのではないか、と考える人もいました。幸い、著名な心理学者であるマージョリー・テイラー先生の研究では、児童期におけるイマジナリーフレンドの有無は、青年期における精神疾患の発症とは全く関係がなかったそうです。
精神疾患の子供が持つイマジナリーフレンドの特徴
解離性障害の子どもなどが持つイマジナリーフレンドは、一般の子どもが持つ気楽な遊び相手のようなイマジナリーフレンドとは性質が異なっているとされています。たとえば、支援者だったり、パワフルな保護者だったり、それぞれ役割を持っていて、特に重いトラウマ経験を抱えている場合は、神や悪魔のような名前を持っていることもあるといいます。
また、正常な子どもと解離性障害の子どものイマジナリーフレンドを比較した研究によると、前者は空想の友達が実在しているとは思っていなかったのに対し、後者は実在を信じていたそうです。
イマジナリーフレンドがいる普通の子の特徴は?
イマジナリーフレンドを持つ子どもは、従来、極度に内向的な性格だと思われていました。しかし研究によって明らかになったところによると、イマジナリーフレンドを持つ子どものほうが、社交的であり、現実の友達が多いことがわかりました。
また誤信念課題(サリーとアンの課題)の正答率が高いことも分かっています。これは心の理論が発達していることを示しています。サリーとアンの課題は発達障害(自閉症スペクトラム症やアスペルガー)では正答率が悪いことが知られていますから、イマジナリーフレンドは自閉症傾向とは関係がないとみてよいでしょう。
イマジナリーフレンドを持つ子どもは、人への興味がないどころか、むしろその逆、つまり、まわりの人の気持ちに敏感で、感受性が強い傾向があるかもしれません。因みに小説家の5割は過去にイマジナリーフレンドがいたことを覚えているそうです。
実はイマジナリーフレンドがいた昔の私
イマジナリーフレンドがいた思春期の私
何故私が、今回イマジナリーフレンドについてここまで詳しく触れたのかと言うと、自分が中1くらいの頃に私にもイマジナリーフレンドがいたために大人になってそれについて詳しく調べたことがあるからです。
はっきり覚えているのですが彼女(昔の私のイマジナリーフレンド)は、赤毛で緑色の目をしたショートカットの女の子で年は同じ年で自分と同じく背が高くてひょろっとしていました。敢えて書くのは控えますがフルネームまで覚えています。
今思うと不思議なのですが、私は普通に彼女が存在しないことは理解していて、でもしょっちゅう夢などに出てきて、継続的にそこにいるのです。
私は子供の頃から現在に至るまで比較的リア充な人間で、友達も多く、どう考えても現実が嫌で現実逃避で生み出した空想の友達とは思えません。ですから上記の様な最新のイマジナリーフレンドに関する研究の話を読んだときに妙に納得がいったのです。
イマジナリーフレンドをカミングアウトした会社の仲間
私が社会人になって3年目くらいの頃でしょうか?会社の研修で友達になった研究職の男の子が、何かの拍子に、自分にイマジナリーフレンドがいたという話をしました。
彼は恐る恐るそのことを半ばカミングアウト的に私に話したのですが、私が普通に、「あー、私にもいたよ。いつ頃いなくなったか忘れたけど多分中2か中3の頃にはいなかったかなぁ?中1の頃いたんだよね。」と名前や特徴なんかをべらべら話し出すと、彼は面食らって驚いていました。
今までその話をして、自分もいたよーと気楽に話してくる人は初めてだったというのです。因みに彼も明らかにリア充系の人で社交的で頭もよく、内向的な面はほぼ見当たりません。
最後に
イマジナリーフレンドは架空の友人のことですが、最新の研究ではほぼ半数の人が過去に持ったことがあるそうです。しかし殆どの人がそれを幼少期に持つために記憶している人は少ないそうです。思春期以降のイマジナリーフレンドは例えば「赤毛のアン」の2 人の女の子や、「悪童日記」のクラウスなどが有名ですが、それぞれつらい時期の心のよりどころのような立場の友達として描かれているために、心が安定していないために存在するのかと思われがちですが、そこまで深刻に考える必要はなさそうです。
私の場合はよく覚えていないのですが、当時私は英語を習いたてで、洋楽やファッションに興味がある、田舎(地方)では少しませた子供でした。友達は普通にいたのですが自分の興味がぴったり合う人はいなかった記憶があります。当時を思い出しても、イマジナリーフレンドを持たなければやりきれなかったというようなつらい人間関係は全く無く、ただ何となく、こんな友達がいたらいいなぁの延長で作り出された空想の友達だったんじゃないかな?と思います。
今じゃとてもそんな空想の友達を毎晩夢に出すなんて芸当出来ませんが、若かりし頃の不思議な思い出として私はイマジナリーフレンドのことを忘れる日は無いのかもしれません。