巷で流行っているお麩ダイエットって何?
今日は最近また再び人気になりつつあるお麩ダイエットについて話をしていきたいと思います。
お麩は高たんぱく低カロリー低脂質な食材なので、以前からダイエットに人気の食材でした。
しかし大量のお麩を摂取するというのは、必ずしも体に良くないのだということを、詳しくお話していきたいと思います。
そもそもお麩とは何でできている?原料と種類
先に結論を述べますと、お麩は小麦からできています。
小麦粉に水を加えて練り、水ででんぷんを洗い流すと粘りの強いグルテン(小麦たんぱく質)が残りますが、そこにもち粉を加え、蒸したりゆでたりしたものが「生麩」、小麦粉を加えて焼いたものが「焼き麩」と呼ばれるものになります。
さらに焼き麩は、棒に巻いて焼いた車麩や板に塗りつけて焼いた板麩、小さな球状の豆麩、お花の形をした花麩、駄菓子屋で買える麩菓子などがあります。
お麩のメリット
お麩には植物性のタンパク質が豊富に含まれているので、お肉の代わりとなる栄養素として、精進料理などでも古くから使われてきました。
また、お麩は保水性が高いので、少ない量でも満腹感を得ることができるのがダイエットに置いての重要なポイントです。
以下、生麩と焼き麩の栄養価を見ていきましょう。
因みに、100g単位で書いていますが、焼き麩は水で戻す前の乾燥状態での値であり、水で戻すと3倍以上に重量が増えるため、実際の数値は3割以下となります。
カロリーが低い
麩がダイエットに向いていると言われる一つ目の理由はそのカロリーの低さです。
麩のカロリーは、100gあたり、生麩で163kcal、焼き麩で385kcalしかありません。
タンパク質が多い
上記でも述べましたが、お麩は高たんぱく食材です。
お麩のたんぱく質は、100gの生麩で12.7g、焼き麩で28.5gもあり、たんぱく質が多いイメージの卵でも100gあたり12.3gなので、生麩は卵に匹敵するたんぱく質量ということがわかります。
脂質が少ない
麩の脂質は、100gあたり生麩で0.8g、焼き麩で2.7gです。
上で比較に用いた卵の脂質量ですが、10.3gほどあるので、麩は脂質がとても低いことがわかります。
糖質は小麦から作られる割には少ない
お麩の糖質はその見た目に比べて意外と高くはありません。
お麩の糖質は、100gあたり生麩で25.7g、焼き麩で53.2gであり、白飯が100gあたり35.6gであることから見ても、小麦から作られている割には糖質は高くないと言えるでしょう。
体に悪いの?お麩のデメリット
今回お麩ダイエットの問題点について話をしていきたいと思うのですが、初めに結論を述べますと、お麩はグルテンアレルギーのリスクがあることと、アレルギーが無くても大量に摂取するとある種の必須アミノ酸だけ異常摂取してしまうことになるので、栄養バランス上よくありません。
以下詳しく見ていきましょう。
小麦(グルテン)アレルギーの人は食べれない
お麩とグルテンで検索すると、体に悪いというキィワードがよくヒットします。
お麩は体に良いのか悪いのかは、簡単に言ってしまうとアレルギーの無い人が適量食べるのには体に良く、グルテンアレルギー(小麦アレルギーなど)がある人にとっては体に悪い、と言うのが正解です。
アレルギーでなくても大量に食べるべきではない
しかしアレルギーでなくてもお麩を大量に常食するのは勧められません。
お麩の味噌汁など、古くから私たちの日常で食べられているものを適量に取ることは全く問題ありませんが、肉や魚、豆腐の代りに3食大量に摂取するようなことは良くありません。
何故ならグルテンはアミノ酸スコアが非常に悪く、必須アミノ酸のうち、いくつかだけが飛びぬけて多いからです。
必須アミノ酸のうち、例えば一種類だけを大量に摂ると、栄養のバランスが崩れ健康上よくないのです。
欧米で流行っているグルテンフリーのグルテンとはお麩のこと
私もアメリカに住んでいた時沢山のグルテンフリー食品を目にしました。
欧米の人は主食が小麦ですから、グルテンの摂取量も我々日本人より多めになりがちなので、グルテンアレルギーの人も、健康上気にして控えている人の数も日本人より多い印象です。
グルテンフリーはもともとアレルギーの人の為のもの
いわゆるグルテンフリーとはグルテンを摂取しない食事方法、もしくはグルテンを含まない食品のことを言います。
欧米でグルテンフリーが広まりだしたころ、グルテンフリーは、グルテンの入ったものを口にするとアレルギー症状の出る人たちの体質改善が目的の食事療法でした。
アレルギーの人以外にも効果がある?
しかしそのうち、アスリートやモデル達がグルテンフリーの食生活を実践したところ、健康になり成績が上がった、美しく痩せたと話題になったことから、グルテンにアレルギーのない人たちにも広くひろがりました。
現在では食事療法から食事方法へと変化し、グルテンフリーのレストランがオープンするなど欧米を中心に一般に定着しつつあります。
しかし、そもそもグルテンにアレルギーがない人に対して、グルテンフリーの食生活が健康に与える影響は、まだ医学的には証明されていないそうです。
気付いていないだけでアレルギーかもしれない?
医学的に証明されていないのに、何故グルテン食に変えたら健康になったという人が沢山いるのでしょう?
実はグルテンアレルギーの症状は多岐にわたるため、アレルギーを持っている人でも自覚がないことが多いのです。
到底アレルギーが原因とも気付かれないような「疲れやすい」「すぐにイライラする」「やる気が出ない」などの症状でも、原因がアレルギーであることがあるので、そういう人が2週間グルテンフリーの食事を試してみることで不快な症状が改善されることがあるのです。
また、グルテンアレルギーは腸内環境のバランスが乱れていることが原因の場合もあります。
加工食品、パンや焼き菓子やピザなどの小麦製品、動物性食品、精白糖の摂りすぎに気をつけることも改善に繋げるためには重要です。
日本人とグルテンフリー
グルテンは日本語で「麩質」と表され、上述のように、お麩がまさにグルテンですが、実は食品以外でも歯磨き粉や整髪料などの増粘剤としても使用されています。
上記で述べたように、グルテンフリーは欧米で一定の支持を集めていて、その観点から見ればグルテンの塊であるお麩は食べるべきでは無い食材になってしまいますが、日本人は欧米人程日常的に小麦などのグルテンを取らないので、摂取しているグルテン量も少なく、通常の生活をしているのであればそこまで心配するべきではありません。
まとめ
今日は最近はやっているお麩ダイエットについて、メリットだけではなくデメリットの観点からお話をしていきました。
基本的にお麩は栄養価が高く高たんぱく低脂質の優秀な食材です。
しかし、お麩はグルテンそのものであり、欧米で見られるグルテンフリーの観点から見ても、そのアレルギー症状には気をつけておかなければなりません。
日本人は米食文化ですが、食品の欧米化の進む昨今、昔よりはグルテンを多くとっている可能性は否めないですし、何より上記で述べたように、お麩ばかり食べるというのはある種のアミノ酸だけを過剰摂取してしまうことになりますから、ダイエットレシピに少しお麩を取り入れる程度にとどめ、3食全てに大量にお麩を摂取するようなことはやめましょう。
昔流行ったリンゴダイエットなどもそうですが、体に良いからと言ってそればかりを食べる単品ダイエットと言うのは何か欠点があるものだと考えた方が無難でしょう。
お麩ダイエットをされる方は、お麩のメリットとデメリットを考え、栄養バランスよく食事の中に取り入れていくことをお勧めいたします。