ハワイで禁止されている日焼け止め、輸出入禁止!日本から送ってはダメ
そろそろコロナ収束を狙って、ワクチンを打ったら海外リゾートにでも行きたいと考えだしている人もいるでしょう。そんな時に忘れてはいけないのが日焼け止めですが、ここ数年で日焼け止めに対する規制が世界中でとても厳しくなってきていることをご存じですか?
ハワイはサンゴ礁を守る為、指定成分が入った日焼け止めを禁止している。
日本人にとって定番のリゾート、ハワイでは2018年に指定成分を含んだ日焼け止め禁止法案が可決され、2021年1月1日からサンゴ礁に影響を及ぼすおそれのある日焼け止めの販売が禁止になりました。この指定成分は日本の日焼け止めには普通に入っているので、旅行の際には気をつけなければいけません。
旅行の時、禁止成分入りの日本の日焼け止めは機内持ち込みは出来るの?
現時点では、観光客が持ち込んだ日焼け止めは規制の対象外のようです。しかしそれはまだコロナ禍で外国人観光客が少ない現在の状況であり、状況は刻々と変化するでしょう。何よりハワイの珊瑚を守るための決まりですから、ベストは禁止成分の入っていない日焼け止めを持って行くか現地調達することです。
珊瑚を救え!世界のリゾートが続々と追随
珊瑚を守るために日焼け止めの成分規制をしだしたのはハワイだけではありません。世界中のリゾートがハワイに追随しています。
パラオ
日本からも近いビーチリゾートのパラオでは、2020年1月1日からサンゴ礁を白化させる原因となる物質を含んだ日焼け止めの販売・輸入・持ち込みが規制されています。禁止された成分を含む日焼け止めを輸入または販売した業者には1000ドル以下の罰金、有害物質を含む日焼け止めを持ち込んだ場合は入国時に没収されます。
フロリダ・キーウエスト
アメリカ合衆国、フロリダ最南端にあるキー・ウエストは、ダイビングやシュノーケリングが盛んです。キー・ウエストでは、2021年1月1日からハワイで禁止される物質を含む日焼け止めの販売が禁止されています。
アメリカ領ヴァージンアイランド
カリブ海に浮かぶ小島ヴァージンアイランドではハワイで禁止される物質に加えオクトクレリンを含む日焼け止めの販売、配布、輸入が禁止になりました。2020年3月30日から施行されています。
オランダ領ボネール島
カリブ海に浮かぶオランダ領ボネール島でも、ハワイで禁止される物質を含む日焼け止めの販売が2021年1月1日から禁止されています。
オランダ領アルバ島
ベネズエラ沖に浮かぶアルバ島では、2020年7月からオキシベンゾンを含む日焼け止めと使い捨てのプラスチック製品がすべて禁止になります。禁止された成分を含む日焼け止めの販売・輸入・生産使い捨てプラスチックや持ち帰り用コンテナも禁止です。アルバ島では、ビニール袋の使用も2017年から禁止されています。
どんな成分が入った日焼け止めが規制されだしているのか
規制される成分(主に紫外線吸収剤)
紫外線吸収剤
オキシベンゾン(Okybenzone)
ハワイ、キーウェスト、オランダ領ボネール島、オランダ領アルバ島、アメリカ領ヴァージンアイランド、パラオで禁止
オクチノキサート(Octyl methoxycinnamate)
ハワイ、キーウェスト、オランダ領ボネール島、アメリカ領ヴァージンアイランド、パラオで禁止
オクトクリレン(Octocrylene)
アメリカ領ヴァージンアイランド、パラオで禁止
エンザカメン(4-methyl-benzylidene camphor)
パラオで禁止
その他の成分
トリクロサン(Triclosan)[抗菌剤] パラオで禁止
メチルパラベン(Methyl paraben)[防腐剤] パラオで禁止
エチルパラベン(Ethyl paraben)[防腐剤] パラオで禁止
ブチルパラベン(Butyl paraben)[防腐剤] パラオで禁止
ベンジルパラベン(Benzyl palaben)[防腐剤] パラオで禁止
フェノキシエタノール(Phenoxyethanol)[防腐剤] パラオで禁止
オーガニックなら紫外線吸収剤不使用?
オーガニック認証=環境に優しいというわけではありません。オーガニック認証は各国の認証団体が独自に規定を定めているもので、配合している植物原料の50%がオーガニックであること、合成香料を使用しないことなど、各団体でそれぞれ異なる基準が定められています。紫外線吸収剤については規制はありませんので、含まれている製品もそうでない製品も存在します。
禁止される日焼け止めの成分とサンゴの白化について
サンゴが白化する原因
サンゴは大きく分けると、サンゴ礁をつくる造礁サンゴと、単体で生息する非造礁サンゴに分類できます。サンゴ礁の集合でみられるサンゴは造礁サンゴで、体内には褐虫藻(かっちゅうそう)という植物プランクトンが共生しており、褐虫藻が光合成でつくりだした栄養をとって生きています。
サンゴは25〜28℃の水温に適していると言われていて、海水温が30℃を超えた状態が続くと、サンゴの白化が起こり始めます。白化は、海水温以外にもストレスなども原因になります。環境ストレスにより共生している褐虫藻が光合成できなくなると、サンゴは褐虫藻を外へ放出します。白化とは、サンゴの体内にいた褐虫藻がいなくなることによって、サンゴの白い骨格が透けて見えている現象のことなのです。
日焼け止めがどのように珊瑚に影響するのか
日焼け止め成分の紫外線吸収剤である、オキシベンゾンやオクチノキサートなどは、日焼けの原因となる紫外線を吸収して熱などの他のエネルギーに変換することで日焼け止め効果を発揮します。
紫外線吸収剤がサンゴに接触すると、通常より低い温度でサンゴの白化が始まり数時間でサンゴが損傷されてしまいます。
まとめ
いかがでしたか?紫外線吸収剤が珊瑚にいかに悪影響を与えているかということ、世界のリゾートがサンゴ礁のために次々と日焼け止めの成分に規制をかけてきているということがお分かりいただけたでしょうか?
また、紫外線吸収剤に分類される成分は脂溶性が高く、ホルモンなどの内分泌系に影響を与えると報告されています。珊瑚だけではなく、人間にも決して良いとは言えない成分である紫外線吸収剤は日本の日焼け止めにはまだまだ多く使われています。
法律で禁止されているわけではありませんが、例えばメキシコでは、カンクンやリビエラ・マヤを含む一部の地域で非生物分解性の日焼け止めの使用が制限されています。有害物質を含む日焼け止めを使わないよう奨励しているリゾートも増えてきているのです。
日本も沖縄などで珊瑚礁が死滅してきていることは問題視されています。法の規制が追いついていない日本ですが、我々日本人が意識的に紫外線吸収剤未使用の日焼け止めを使うことで、救える珊瑚もあるかもしれません。何よりも我々の体にとっても決して褒められた成分ではありませんから、なるべく紫外線吸収剤が入っていない日焼け止めを選ぶようにしたいものです。