糖の分類と食後高血糖について知ろう!
最近何かと騒がれている糖質ですが、一昔前まではダイエットは脂質を制限すべきとか、カロリー制限すべきだとか言われていました。
しかしながら近年になってやはり最も注意すべきは糖質であって、特に食後高血糖を意識しなければいけないということがわかってきました。
今日はこの炭水化物(糖質+食物繊維)と糖の種類について、そして食後高血糖が何故肥満と関係するのかを詳しく説明していきたいと思います。
糖の分類、意外と間違っている人が多い
炭水化物 ( 糖質+食物繊維)は、たんぱく質、脂質と並ぶエネルギー産生栄養素のひとつです。
糖質が不足すると、エネルギー不足による疲労感や集中力の減少が見られ、また、ブドウ糖が必要な脳・神経で供給不足が起こると、意識障害を起こすこともあります。
一方で糖質が過剰な場合、エネルギーとして消費されなかった糖質は脂肪として蓄積され、肥満や生活習慣病の原因となるので大変厄介です。
炭水化物は上述のように、食物として体内に取り入れられエネルギー源となる糖質と、体内の消化酵素では消化できない食物繊維があり、糖質は単糖類、少糖類、多糖類に分類されます。
昔は単糖類、二糖類、多糖類という分類の仕方をすることもあったので、たまにオリゴ糖を多糖類と間違って分類していたりする人もいます。
インターネットのサイトによっては、米や小麦が単糖類だと間違って断言している人までいて、しかもGoogle検索上位に出てきていたりすることもあるので、ネットの情報には出所に充分気をつけなければいけません。
余談ですが、私が個人的におすすめする、まともな情報源は厚生労働省のe-ヘルスネットです。
栄養・食生活 | 用語辞典分類 | e-ヘルスネット(厚生労働省) (mhlw.go.jp)
糖の分類は大きく分けて三つ
単糖類
単糖類はそれ以上分解されない糖類で、ブドウ糖(グルコース)、果糖(フルクトース)、ガラクトースがあります。
少糖類
少糖類は単糖が2つ以上結びついたもので、多糖類ほどは分子量が大きくないものです。
少糖類=オリゴ糖という人もいますが、定義はややあいまいで、実際には二糖類を含める場合と、3つ以上の糖が結びついたものを指す場合もあります。
この少糖類の中で太りやすさに関係するものは主に二糖類です、オリゴ糖は比較的吸収されにくい糖です。
二糖類
二糖類にはショ糖(ブドウ糖+果糖)、麦芽糖(ブドウ糖+ブドウ糖)、乳糖(ブドウ糖+ガラクトース)などがあります。
いわゆる砂糖はショ糖のことです。
多糖類
多糖類は消化性多糖類と難消化性多糖類に分かれます。
消化性多糖類
消化性多糖類にはでんぷん(米、小麦、トウモロコシなど主に主食に含まれる)ものと、グリコーゲン(肝臓や筋肉に蓄えられる糖)などがあります。
難消化性多糖類
難消化性糖類は食物繊維の仲間となります。
このように分類される糖ですが、食事でとった消化性の二糖類や多糖類は消化酵素でブドウ糖まで分解され、小腸から吸収され血中に入ります。
この血中ブドウ糖を血糖と言いますが、この血糖値の上昇度合いでインスリン(膵臓から出る血糖値を下げるホルモン)の出る度合いが変わってきます。
食後高血糖がデブの原因と言われる理由
さてさてここまで読み進めていくと、単糖でも多糖類でも最後はブドウ糖になるなら一緒じゃないの?と思われる方がいるでしょう。
勿論ブドウ糖になるという点では同じなのですが、問題なのはインスリンです。
例えば単糖は多糖類に比べて消化吸収が早いので、早く一気に血糖値が上がり、インスリンが一気に放出されてしまいます。
インスリンは血糖値を下げるだけでなく、過剰な糖を脂肪にかえる能力があるので、インスリンが大量に出るということは、糖が一気に脂肪に変えられてしまうということなのです。
因みに難しいので説明は省きますが、人の体はインスリンが糖を取り込むことで結構素早く脂肪を蓄えることができますが、皆が経験しているように、システム上、逆に脂肪を落とすのは決して簡単ではありません。
人類が飽食になったのは人類史の中ではほんの最近のことに過ぎませんから、体が脂肪を分解する事よりも蓄えることの方が得意だとして、何ら不思議ではないでしょう。
食後高血糖にならないために
太る以外にも危険な血糖値スパイク
この過剰な血糖値よって沢山のインスリンが放出され、必要以上の脂肪が蓄えられる原因になることはおわかりいただけたかと思います。
沢山のインスリンが放出されると、糖は脂肪に変換され、その後血糖値は急激に下がることになります。
このように急な血糖値の上昇から急な血糖値の降下を血糖値スパイク(グルコーススパイク)と呼び、この血糖値の乱高下が血管にダメージを与え、動脈硬化を引き起こし、心筋梗塞や脳卒中による突然死のリスクを高めてしまうと考えられています。
食べ方を工夫する!空きっ腹に糖質を入れない!
空腹時に血糖値の上がりやすい糖をいきなり摂取すると、当然ですが過度な血糖値の急上昇がおこります。
この血糖値の急上昇を避けるために、重要なことは空きっ腹に糖質を入れないという生活習慣です。
べジファーストという食事法を誰もが一度は耳にしたことがあるでしょうが、あれは食後高血糖を防ぐために、まず食物繊維の多い野菜を先に食べることで、血糖値の急な上昇を抑えようという食事法なのです。
食品のGI値に詳しくなろう!
また食品にはそれぞれGI値という食後血糖値の上昇を示す指標、グライセミック・インデックス(Glycemic Index)値があります。
GI値は食品に含まれる糖質の吸収度合いを示し、摂取2時間までの血液中の糖濃度を計ったもので、GI値が70以上の食品を高GI食品・56~69の間の食品を中GI食品・55以下の食品を低GI食品と定義しています。
この低GI値の食品を選ぶことで急激な血糖値の上昇を防ぐことができますから、過度な肥満や心筋梗塞、脳卒中などのリスクを減らすことができるのです。
まとめ
いかがでしたか?
糖質が肥満の原因になることは知っていても、どういう仕組みでそうなるのか知らない人は結構多い印象です。
糖質と一言で言っても、単糖から多糖類、食物繊維まで幅広く種類があり、最終的にブドウ糖にまで分解されたものが血中に血糖値として現れます。
糖質は食事の食べた順番やその食品のGI値により、吸収度合いが変わり、血糖値の上昇度合いも変化するので、それによってインスリンの分泌度合いも変わります。
インスリンは血糖値を下げるのと同時に糖を脂肪に変換する能力があるので、インスリンの分泌をいかにマイルドにしてあげるかが、太り過ぎを防ぐポイントになるのです。
急激な血糖値の上昇は大量のインスリンによる血糖値の降下も招き、食後急に眠くなったりと、肥満や血管に悪いだけでなく、日常生活の質も下げてしまうので百害あって一利なしです。
是非皆さんも健康のために、食後の血糖値に意識を向けた食生活を送ってみることをお勧めいたします。