遺伝子組み換え作物と品種改良作物、違いが解る?
先日のブログで、豆腐の「遺伝子組み換えでない」という記載が、「分別流通生産管理済み」に変わっていたという記事を書きました。ブログでも書きましたが、これは、外国産大豆を使っているメーカーに記載されていることが多く、基本的に遺伝子組み換えでない大豆を使用しているが、予期せぬことで遺伝子組み換え大豆が混ざっているかもしれない・・・という意味の記載です。
今日このことをママ友達と話していたら、会話の節々で、皆が遺伝子組み換え作物と品種改良作物の区別がついていないことに気づきました。今日はその遺伝子組み換え作物について掘り下げて話していこうと思います。
品種改良は遺伝子組み換えより広義
「品種改良」とは広義には、農作物をより美味しくしたり、効率よく収穫したりするために、意図的に遺伝子の組み合わせを変えることをいいます。従来の品種改良では、ある品種のめしべに、他の品種の花粉をつけて交配し、それぞれの品種が持つ性質を両方持ちあわせた品種を作り出す方法(人工授粉交配)が用いられてきました。近年はそのほかにも、胚培養や細胞融合といった技術や、放射線や化学薬品で遺伝子に突然変異を起こす技術などがあります。遺伝子組み換え技術も、こうした最新の品種改良法のひとつなのです。
交配のような従来の品種改良も、遺伝子組み換え技術も、意図的に遺伝子の組み合わせを変えて多くの人々が好む優れた性質を持った作物を作るという目的は同じです。従来の交配による品種改良は、親の遺伝子を半分ずつ、ランダムに受け継ぎ、目的通りの品種ができるかどうかは偶然に頼ることになるため、開発には長い年月がかかります。それに対し、遺伝子組み換え技術は、あらかじめ機能がわかっている遺伝子だけを組み込むので、より確実に短期間で目的の品種を作ることが可能になります。
また、遺伝子組み換え技術の特筆すべき特徴は、今まで交配できる品種間でしかできなかった遺伝子の受け渡しが、異なる生物種でも可能となったことです。従来の交配による品種改良でも自然に遺伝子の組換えは起きており、人工的に起こした遺伝子の突然変異を利用することもありました。しかし、遺伝子組換え技術が従来の品種改良と異なる点は、人工的に遺伝子を組み換えるため、種の壁を越えて他の生物に遺伝子を導入することができるようになった、ということなのです。
遺伝子組み換え作物とは?
品種改良と違って、複数の生物の遺伝子を合体させて全く新しい生物を創造するのが遺伝子組換えです。現在日本で承認され、流通している遺伝子組換え作物は、ダイズ、トウモロコシ、ナタネ、ジャガイモ、綿、てん菜、アルファルファ、パパイヤの8品目だと言われています。
それらの主な生産国は、米国(ダイズ・トウモロコシ)、アルゼンチン(ダイズ)、カナダ(ナタネ)、ブラジル(ダイズ)、中国(綿・近年中にコメ、ジャガイモが導入)だそうです。
遺伝子組換えの商品には、アメリカのモンサント社の除草剤耐性ダイズや、他には、BT菌という殺虫毒素をもつバクテリアの遺伝子を組み込んだ殺虫性作物があります。除草剤耐性と殺虫性の2種類が現在流通している遺伝子組換え作物のほぼ全てです。
米国の遺伝子組み換え大豆
現在全世界で作付けされている遺伝子組換えダイズは、アメリカのモンサント社の除草剤耐性ダイズ1品目だということはご存じでしょうか?
実は、モンサント社はラウンドアップという除草剤の会社で、このラウンドアップは無差別に全ての植物を根の先までみごとに枯らしてしまう強力な除草剤です。このラウンドアップ生産工場の排水溝から見つかった除草剤耐性微生物の遺伝子を組み込んだものが除草剤耐性ダイズなのです。
その耕法はシンプルです。まずラウンドアップで農地の全ての雑草を根こそぎ枯らし、次に耐性ダイズの種子を撒き、途中でもう一度ラウンドアップで除草します。いかに乱暴で且つ手間暇かからないかがわかるでしょう。因みに世界中で作付けされている遺伝子組換えダイズの種子はモンサント社からしか購入できず、自家栽培は特許権の侵害になるそうです。何だか利権の臭いがプンプンしますね。
遺伝子組み換え作物!欧米人より日本人が危ない?
そんな不自然に遺伝子を組み替えて作る遺伝子組み換え作物ですが、人体にどんな害悪があるか未知数でわからない為、なるべく取らないにこしたことは無いと私は考えています。そういう話をすると、日本で遺伝子組み換え作物何て見ないでしょ?という人がたまにいます。実は遺伝子組み換え作物は日本中にはびこっているのです。よくわからないレベルで紛れ込んでいるという意味で、日本は欧米よりタチが悪いかもしれません。
ヨーロッパは実はとても規制が厳しい
ヨーロッパと米国の遺伝子組み換え作物に対する立場は全く異なります。ヨーロッパでは遺伝子組換え食品はほとんど流通しておらず、その規制もとても厳しいのです。
そのため、アメリカはEUの流通規制を違法としてWTOへ提訴しているほどです。アメリカとしてはヨーロッパにも遺伝子組み換え作物を輸出したいところなのでしょう。断固としてNOをつきつけているヨーロッパはある意味立派だなと思います。
アメリカの遺伝子組み換え食品は主に家畜が食べている
アメリカではダイズやトウモロコシは基本的に家畜の飼料になる割合が多いようです。アメリカでは遺伝子組み換え作物(GMO)の表示義務は州によって異なるのが現状です。
しかし、アメリカで遺伝子組み換え食品(GMO)を避けて食品を購入することは意外と簡単で、USDA ORGANICマークが表示されている食品を購入したり、NON GMO Project VERIFIEDマークが表示されている食品を買えばよいのです。
また、私もアメリカに住んでいた時によく利用しましたが、Whole Foods Marketのようなオーガニックマーケットを使えば、あまり深く考えずとも、遺伝子組み換え作物を避けて食品を買うことができます。
実はゆるゆるな規制で一番危険なのは日本人?
日本では現在商業用の遺伝子組み換え作物の作付けはありません。ただし、日本の流通規制は非常に緩く、世界中で一番遺伝子組換え作物を多く食べているのは日本人かもしれないと言われているほどです。日本人はもっと遺伝子組換え作物の現状を知る必要があります。
数年前の統計では、米国の80%が遺伝子組換えダイズと推定されています。日本のダイズ自給率は約5%で、日本の輸入ダイズの約75%は米国産です。計算上日本で使用されているダイズの約60%が遺伝子組換え大豆ということになります。しかも現在遺伝子組換えダイズの使用割合はさらに増加中だそうです。
日本でも遺伝子組み換え大豆は主に家畜の餌にしていることは事実です。しかし、日本では何と原材料としての「遺伝子組み換え」表示の義務がないのです。ですから、そのことからも、日本の消費者は意識して遺伝子組み換え食品を排除していく必要があるのです。
まとめ
いかがでしたか?地味に花粉交配し、運に任せて人々が好む優れた性質を持った作物を作るという品種改良と違い、遺伝子組み換えとは、直に遺伝子を組み替えてしまうという神の領域であることがわかっていただけたかと思います。
品種改良は実は古来から行われており、例えば豚は人間がイノシシから品種改良した動物だと言われています。人が扱い易い、人にとって良い性質を持ったイノシシを選別して交配していった結果、長い月日をかけてできたのが、現在の豚なのです。意図的ではありますが、偶然が関係しているという意味で、遺伝子組み換えとはかなり違うことがわかるでしょう。
遺伝子組み換え作物は、除草剤耐性と殺虫性の2種類があると前述しました。例えば、遺伝子組み換え大豆には、大豆の遺伝子に除草剤耐性微生物という異種の遺伝子が組み込まれているわけです。本能的に不自然ですよね?それだけでも、正直私は食べたくありません。
しかし、日本には私たちが思っている以上に遺伝子組み換え食品が出回っています。原材料に遺伝子組み換え作物を使っている旨を記載する必要性が無いからです。私たちは意識して、遺伝子組み換え食品を避けるようにしなければ、いつの間にか体に取り込んでしまう可能性があるのです。
次回、その遺伝子組み換え作物を、日本国内でなるべく避けて食品を選んでいく方法について話をしていきたいと思います。