加熱調理法はワンパターンに偏らない方が良い?
多くの食品は生食で食べるより、加熱して食べますが、実はこの加熱の方法にもそれぞれ特徴があり、体に良い調理法から悪い調理法まで幅広く存在します。
今日はそんな、調理における加熱調理の種類と、そのメリットデメリットについて掘り下げて考えていきたいと思います。
代表的な6つの加熱調理のメリットとデメリット
①焼く
料理において焼くという行為は、火が直接食材に触れる調理法ですが、多くはフライパンやグリル・オーブンなどで間接的に火を当て、高温で調理するものを指します。
焼くことのメリット
焼くことにより、特に肉類では、油分を落とすことができるのでカロリーは低くなるというメリットがあります。
焼くことのデメリット
栄養成分が高熱で分解されてしまうものは、栄養学的にはあまり好ましくないかもしれません。また、炭水化物を多く含む原材料を高温(120℃以上)で加熱調理した場合、「遺伝毒性をもつ発がん物質」アクリルアミドが含まれる可能性があると言われています。
そして、タンパク質(アミノ酸)と糖質を一緒に加熱すると褐色に焦げ、これをメイラード反応と呼んでいますが、この反応により老化の元凶となるAGEが発生する危険があります。
②茹でる
茹でるとは、食材を湯の中で加熱する方法で、煮物と違い、単に湯の中で加熱することが茹でることの特徴です。
茹でることのメリット
基本的な調理法としては茹でた後、和えたり、そのまま味をつけて食べますが、茹でる調理法の利点は、素材の良さを最大限に出す工夫ができる点でしょう。
茹でることのデメリット
茹でることによって壊れた組織からは、水溶性の成分(糖、苦味、水溶性食物繊維、水溶性ビタミン)などが出ていってしまうという点が最大の欠点です。
③煮る
煮物に代表されるように、水やだし汁に食材を入れて加熱し、加熱した食材とともに煮だし汁も使う調理法で、日本料理などでは最もポピュラーなものです。
煮ることのメリット
煮物の煮汁は茹で汁のように捨てることが無いので、その素材の持つ栄養素を余すところなく食べきることができるのが最大のメリットです。
煮ることのデメリット
長時間高温で煮ることで、栄養素の一部が壊れることがあるのがデメリットです。
④蒸す
蒸し料理は蒸気を使って加熱する料理で、日本料理だけでなく、中華料理の点心やモロッコ料理のタジン鍋など外国料理でもよく見られる調理法です。
蒸すことのメリット
茹で料理のように水溶性の栄養素が溶け出すことはなく、また炒め料理のように油を使用することもなく低カロリーなので、ヘルシーな調理法といえます。また、100℃以上に加熱されないため栄養素の損失も少なく、形も崩さないので素材を生かした調理法でもあります。
蒸すことのデメリット
調理中に味付けがしにくいので、下味を付けたり、タレやソース類で味付けをして食べる工夫がいることです。蒸し器ではなく、スチームオーブンレンジを使ったり、電子レンジで食材の水分で蒸し状態にしたりする工夫もあり、現代では手軽に蒸し料理ができます。
⑤炒める
一般的には少量の油を使って野菜や肉を混ぜながら加熱する料理です。
炒めることのメリット
高温で短時間の油加熱ということになるので、油を使うことにより、たとえば脂溶性のビタミンAを摂取しやすくなる。というメリットがあります。
また、茹でる、煮るなど比較的時間をかける調理法に比べると、熱に弱く、水溶性の栄養素(ビタミンCなど)も失われにくく、摂取しやすくなるというメリットがあります。
炒めることのデメリット
炒める場合には基本油を使うのでその分のカロリーは増します。また、炒めすぎると素材の栄養価が損なわれるので気をつけなければいけません。
⑥揚げる
揚げ物とは、高温の多量の油の中で食材を加熱調理することをいいます。「煮る」や「茹でる」と異なり、調理温度は150℃から200℃近くになります。
揚げることのメリット
高温の油に入れるため、表面では食したときにサクサク感が残り、食材の内部は水分が保たれ柔らかさや風味などが残るので、食材を美味しく食べることができます。
揚げることのデメリット
カロリーが高い油で調理するので、高カロリーの調理法になってしまいます。素揚げのように揚げる方法と比較して、衣をつける天ぷらなどは衣と油の両方のカロリーが加算され、高カロリーになります。
また、研究の結果、炭水化物を多く含むイモ等を高温(120℃以上)で焼く、または揚げることにより、アクリルアミドが生成されるという発表がありました。内閣府食品安全委員会は、化学物質のアクリルアミドについて「遺伝毒性をもつ発がん物質」との評価案を示しています。
そして焼きすぎた時と同様に、老化に関係するとされるメイラード反応もおこります。
総じて体に良い調理法は?
今回示した加熱調理法を敢えて体に良い順番に並べると、ズバリこんな感じでしょう。
蒸す>煮る>茹でる≒炒める>焼く>揚げる
蒸すことは外部に栄養価を逃さず、高温で無いので栄養素も壊れません。煮るという行為は蒸すより高温ですが、煮汁ごと栄養素をとることができます。
茹でると炒めるを甲乙つけ難いとしているのは、茹でることで茹で汁に栄養素が出て行ってしまうというデメリットと、炒めすぎて栄養素を壊したりするリスクを考慮したためです。
次に来るのが高温で焼いてしまうリスクのある焼くと言う行為で、焼きすぎるとアクリルアミドができたり、メイラード反応がおきたりしてしまいます。そして最悪なのが揚げるという行為ですが、揚げるとほぼ確実にアクリルアミドができてメイラード反応も起こります。
まとめ
いかがでしたか?日頃あまりに気にせずに行っている加熱調理ですが、いつも揚げてばかりとか、焼いてばかりの調理をしていると、発がん性物質であるアクリルアミドが発生したり、メイラード反応がおこり、老化の元凶となるAGEが大量発生したりします。
なるべく、蒸す、煮るなどの高温過ぎない調理法で調理することで、これらのリスクを回避できるので、是非料理の時はそのことを頭の片隅に入れておいて下さい。