花火大会は7月から8月がメイン何故夏にするの?
今年はコロナで去年に引き続き花火大会の中止が相次いでいます。こんなに花火が中止になると、花火師さんが廃業に追い込まれないかしら?日本の伝統が途絶えてしまわないか、気が気でないのは私だけじゃないでしょう。
去年は花火師さんたちの作った花火消費のために不意打ちで花火が上がるという、サプライズ花火、若しくはシークレット花火というのが打ち上げられ、話題を呼びました。
確か去年のこのシークレット花火も夏場に行われた記憶があります。そもそも何故花火は夏場に打ち上げられるのでしょうか?素人考えでは冬の空の方が澄んで綺麗だから、花火を打ち上げるのに向いていたりしないのかな?などと考えてしまいがちですが、花火大会を夏に行う理由はキチンとあるようです。
今日はその、花火大会を夏にする理由について話をしていきたいと思います。
花火を夏に行うことが多い5つの理由
冬だと寒く、静電気もおこりやすく危険だから
先ほど言ったように、冬の夜空は澄んでて綺麗なので、花火大会には向いているような気がします。しかし、冬に花火大会が行われない理由は大きく分けて2つあります。
一つ目の理由は、容易に想像がつくでしょうが、寒すぎるからです。花火大会は川とか湖とか海の近くとか開けた水辺で行われるのが常ですが、冬場の水辺は寒すぎます。水辺でなくても外に立って1時間近く寒い中、花火を見る人はあまりいないのではないでしょうか?
2つ目の理由は静電気です。冬は乾燥していて静電気が起きやすいというのは皆さん体感して知っていることと思います。海外のニューイヤーのイベントなど、冬に花火を打ち上げることも勿論ありますが、その時は花火師さんは静電気に細心の注意を払うのだそうです。このことからも、日本の花火大会のように1時間越しの長丁場の花火大会などを冬に行うのは静電気の危険性を考えると、至難の業であることがわかります。
春は風が強く火事が多くて危険だから
春は気候もよく、気分も上がるので春に花火大会をすればよいと思う人もいるかもしれません。しかし春に花火はほぼ見ません。実はあまり知られていませんが、春に花火をするのは少し危険なのです。
皆さん、春一番という言葉を聞いたことがあると思います。春先に吹く強い南寄りの風のことです。春は風が強く花火には向かないのです。消防庁の資料によると、出火件数がもっとも多いのが3月です。冬などは乾燥して火災が多いイメージがありますが、4月や5月も実は火災が発生しやすい季節です。また、春は乾燥が続くうえに、1年の中でも特に風が強い季節で、その為に火事の火が広がりやすい季節なのです。
花火を作る時期に梅雨や夏が適さないから
花火大会に使われるような大型の打ち上げ花火は、作るのに手間も時間もかかります。1年かけて頑張って作って、夏の花火大会で殆どの花火を一斉に打ち上げるのです。
ジメジメとした夏や雨の多い梅雨は花火作りには大敵なので、花火製造は空気が乾燥する冬から始まります。冬に花火作りをスタートさせたら、春先には完成しそうですが、春ごろから花火大会に合わせたプログラム作りや、新作花火のテスト、工場の安全検査などが行われます。
ようやくお披露目となるのがちょうど梅雨明けの時期となり、夏に打ち上がるのは花火の製造スケジュールからしても理にかなっているのです。
もともとお盆の送り火だったから
お盆とは一般的に8月13日から8月16日の間の期間で「祖先の霊が私たちのもとに帰ってくる期間」とされています。お盆は、しきたりの一部として「火」が重要な意味を持ちます。
13日には火を焚き先祖の霊を迎え(迎え火)、16日には火を焚き先祖の霊を送りだします(送り火)。有名な京都の大文字焼きや、灯篭流しなども「送り火」の一つとされています。
実は花火も同様で、もともとは送り火として先祖をお送りする意味合いを持っていました。今でも花火大会の時期はお盆辺りの8月に集中しているのはその名残からなのです。
八代将軍徳川吉宗の花火がきっかけだから
前の年に飢饉やコレラの疫病で多数の死者が出た事がきっかけで、1733年将軍吉宗は死者の慰霊と悪霊退散を祈って今の隅田川(当時:両国大川)で川開きと同時に花火を多数打ち上げたそうです。
これ以降、川開き初日に花火を打ち上げるのが恒例となったそうです。隅田川の花火大会もここにルーツがあります。川開きと言うのは旧暦5月28日から8月26日までの納涼期間の始まりのことで、昔は川辺は多くの人がつどい楽しむ場でした。
最近では川開きという言葉をあまり聞きませんが、海開き、山開きの様に夏がスタートする一つの指標となっており、当時は納涼開始を祝い楽しむとともに、水難者の供養や水難防止祈願の水神祭をも兼ねた行事でもありました。
まとめ
いかがでしたか?夏に花火大会が行われるにはしっかりとした理由があるということをわかっていただけたでしょうか?
私はアメリカに住んでいた時に何度か花火を見たことがあるのですが、花火自体の大きさやカラフルさ、打ち上げのリズム、打ち上げ時間、芸術性、全てにおいて日本の圧勝というほど、日本の花火は素晴らしいものがあります。
私の日本在住の外国人の友人は皆口をそろえて日本の花火が世界一だと称賛してくれます。その日本の伝統を守るためにも、今年も是非、シークレット花火大会でも構わないので決行して、花火師さんが廃業にならないように皆で支えていきたいものです。