宇多田ヒカルがノンバイナリーをカミングアウト?ネットが大騒ぎ!?
最近歌手の宇多田ヒカルさんが自身がノンバイナリーであるとカミングアウトしたことがネットで話題になっていました。
宇多田さんって2回も結婚してて子供もいるのに??と驚く声が多数散見されました。しかしノンバイナリーとは性的指向を示す言葉ではないので、どんな性別の人と恋愛するかをカミングアウトしたわけではないのです。
そこのところが十分に理解されないまま言葉だけが独り歩きしてしまい、軽く世間がざわついていたわけですが、今日はこのノンバイナリーに焦点を当てていきたいと思います。
ジェンダー認識の多様性、ノンバイナリーとは?
最近あらゆる国でLGBT法案が可決されたとか、LGBT系のニュースが多くなってきている気がします。数年前まで細かく分類されていなかったような性認識用語が沢山出てきて、いまさら聞けないものが増えてきています。おそらくノンバイナリーもそんな、いまさら聞けないワードの一つなのではないでしょうか?今日はノンバイナリーを軸にその周りの似て非なる言葉も幾つか紹介していきたいと思います。
そもそもノンバイナリーって知ってる?
今回宇多田ヒカルさんの発言で話題となったノンバイナリーとは、もともとバイナリーという言葉の対義語から派生しています。
バイナリー
二つの要素で構成されている物という言葉から由来し、性を男女の二つで構成する考え方(ジェンダーバイナリー)
ノンバイナリー
性別を男女のどちらかに決めないという立場をとる人、自分の性の認識を男性か女性かで分けようとしない考え方
トランスジェンダー、Xジェンダー、バイセクシャル、クィア、第三の性、との違いは?
詳しく知らない人にとっては混同してしまいそうな言葉がいくつかあります。どれも微妙に違うので、それぞれ見ていきましょう。
トランスジェンダー
トランスジェンダーは、生まれた時の身体の性別と心の性別の自認が一致しない人を指す言葉です。トランスジェンダーの人は、身体と逆の性を強く認識している場合が多いですが、ノンバイナリーの人はそもそも自分の性を男女どちらかに定義していません。
Xジェンダー
性自認が男性にも女性にもあてはまらないセクシュアリティを指す、日本でうまれた言葉です。ノンバイナリーとの共通点は性自認が男性にも女性にも当てはまらないことですが相違点があります。
ノンバイナリーとの相違点
- Xジェンダーは性自認のみを表す言葉ですが、ノンバイナリーは性表現にも男性・女性の枠組みを当てはめ無いという考えを持っています。
- 両者はジェンダーバイナリー(性は男女の二つからなるという考え方)を持つか否かが違います。Xジェンダーには、中性(男性と女性の中間)、両性(男性でもあり女性でもある)、不定性(性自認が流動的)、無性(男性・女性のどちらでもない)という4つのタイプがあります。
このうち、中性、両性の場合は、二つの性別が存在している認識、つまりジェンダーバイナリーにもとづいて、自身の性を認識しています。また、不定性は、自分が男/女であると考えるときもあれば、自分は男でも女でもないと考えるときもあり、ジェンダーバイナリーに対する態度が変化します。無性は、ノンバイナリーと同じく、ジェンダーバイナリーをもたず、それゆえに自分は男にも女にも当てはまらないと考えます。
バイセクシャル
バイセクシャルとは男女両方に性的な魅力を感じる人々の総称で、LBGTのBにあたる人々です。ここでは性的指向 のことだけをさし、服装の好みや性自認を指す言葉ではありません。日本語でいうところの両性愛者のことです。
クィア
クィアは、20世紀終盤以降、偏見の目を向けられてきたセクシュアルマイノリティが中心となり、彼らを指すために用いられるようになった言葉です。ゲイやレズビアン、トランスジェンダー、クロスドレッサー(異性の服を着る人)なども含む概念であるため、全てのセクシュアルマイノリティを包み込む言葉であり、ノンバイナリーもその中に含まれます。
欧米ではLBGTにクィアのQを加えて、LGBTQと言ったりもします。だた、QはQuestioning(クエスチョニング→自分の性認識がまだ無い人)に該当するという解釈もあります。
第三の性
第三の性には大きく分けて二つの定義があます。1つ目の定義は、男女というジェンダーに当てはまらない自認の総称です。西洋的にはクィアやノンバイナリーをさすこともあり、日本語のXジェンダーも同義語とされています。
二つ目の定義が現代西洋社会のカテゴリーであるLGBTに当てはめることができないアイデンティティの総称で、これが最も一般的な定義です。世界的にも最も有名なものの一つに日本の江戸時代の若衆という文化があります。
若衆とは
若衆とは男性として生まれた元服前の若者のことで、時に女性の装いもします。若衆は当時、エネルギーと美しさの象徴とされていました。若衆と成人男性の関係は男色と呼ばれ、江戸時代では日常の光景でした。ほとんどの場合年を重ねると若衆は成年男性側になることから、年功序列を反映している先輩・後輩の関係とも言えます。江戸時代のジェンダーは、身分や年齢などが複雑に重なりあっていたのです。
まとめ
いかがでしたか?なんともややこしく混乱してしまいそうですが、これ等の用語が細かく見ていけば違うものであることがお分かりいただけたでしょうか?
しかも今日話したこれはほんの一部に過ぎず、Facebookの性別欄には何と58もの選択肢があるというから驚きです。
近年色々な新しい言語が出てきており、区別が難しかったりしますが、自分のジェンダー認識に疑問がある方は、この58の選択肢を詳しく見ていくと、自分のジェンダー認識にピッタリのものが見つかるかもしれません。