冷えた薩摩芋やおにぎりでダイエット?低GIなレジデントスターチとは?
結構昔に、おにぎりダイエットというのが流行ったことがあるのをご存じですか?ミュージシャンの、つんくさんがそれで痩せたことで少し話題になったのですが、時代が低糖質ダイエットブームだったこともあって、その後あまり日の目を見なかったダイエット方法です。
しかし、このおにぎりダイエットこそが、じつは今回お話しするレジデントスターチのメカニズムを使った代表的なダイエット方法になるのです。
炭水化物は冷えるとカロリーが半分になる?
レジデントスターチというのは別名、難消化性でんぷんと呼ばれるもので、通常の炭水化物(でんぷん)が冷えることで消化吸収されにくくなり、この難消化性でんぷんになります。
この難消化性でんぷんは、消化吸収が通常のでんぷんに比べて緩やかなので低GI(糖の吸収が穏やかな食品)だと言われています。また消化吸収されにくくなるため、炭水化物(でんぷん)がレジデントスターチになるとカロリーが半分になるとも言われているのです。
勿論冷やしたすべての炭水化物が完璧にレジデントスターチになるとは限らないので、単純に必ずカロリーが半分になるとは言えないのですが、炭水化物が冷えるだけでカロリーが減り、低GIになるということは覚えておいて損はないでしょう。
レジデントスターチダイエットのやり方
レジデントスターチダイエットのやり方は非常に簡単です。例えばお米の場合は、炊いてから茶碗に取り、一時間ほど常温で放置するだけです。水分はとんだ方がレジデントスターチは増えるそうなので、炊飯ジャーからは出して冷ましましょう。常温でも4時間以上冷ますと雑菌が繁殖する危険性があるので、長時間冷ます場合は冷蔵庫に入れましょう。
レジデントスターチの量は通常、炊き立てご飯<冷凍ご飯<冷蔵庫ご飯<常温ご飯、の順だと言われていて、常温が最も優秀になります。冷凍ご飯は再加熱しますが、炊き立てご飯よりはレジデントスターチが多いのが特徴です。これらの特徴を見ても、おにぎりダイエットが実は優秀なレジデントスターチダイエットであることがわかります。
お米以外の場合は、例えば焼き芋を冷やして食べるとか、パスタやうどんを冷やして食べるなど、それだけでレジデントスターチが増えるので、夏場にはぴったりのダイエット方法であることがわかります。
難消化性でんぷん(レジデントスターチ)はハイパー食物繊維!?
もともとでんぷんは小腸で全て分解・吸収されると考えられていましたが、分解・吸収されにくい性質のでんぷんも存在することが、近年の研究で明らかになりました。これがレジスタントスターチ(難消化性でんぷん)です。この、分解・吸収されにくい性質が、食物繊維とレジスタントスターチの重要な共通点です。
食物繊維には不溶性食物繊維と水溶性食物繊維の2種類がありますが、レジスタントスターチはこれらの2つの特徴をみごとに兼ね備えています。これぞまさに“ハイパー食物繊維”と呼べるでしょう。
便秘解消効果あり!レジデントスターチは善玉菌の家になる?
不溶性食物繊維と同様の役割をもつ
腸を健康に保つのに不可欠なのは、腸内で働く善玉菌です。善玉菌が腸内で生き続けるには、善玉菌が住みつく為の家が必要になります。その家となるのが不溶性食物繊維(野菜のセルロース、カカオのリグニンなど)や、同じく分解・吸収されにくい性質を持つレジスタントスターチになります。
それらに住みついた善玉菌は、腸内で働きながら、大腸の奥深くにある直腸まで運ばれます。その結果、腸内の不要なものが便として排泄され、体内をキレイにできるのです。
免疫力が上がる?レジデントスターチは善玉菌のエサにもなる
水溶性食物繊維と同様の役割
善玉菌が腸内で元気に生き続けるには、エサも必要になります。そのエサとなるのが水溶性食物繊維(果物のペクチン、コンニャクのグルコマンナンなど)であり、善玉菌が好むブドウ糖の塊であるレジスタントスターチです。
おいしいエサを得た善玉菌は、腸内で元気に増殖するとともに、短鎖脂肪酸という物質を排出します。これが大腸の粘膜を厚く丈夫にして、毒素の侵入を防ぎ、免疫力を高めてくれるのです。また、血中脂質や血糖値の急激な上昇を抑える可能性もあり、生活習慣病の予防効果が期待されています。
まとめ
以上のように、炭水化物(でんぷん)は冷えるとレジデントスターチ(難消化性でんぷん)になり、消化吸収されにくくなることで、カロリーが減り、低GIな食品へと変貌します。また、この消化吸収されにくいレジデントスターチは二つの食物繊維(水溶性食物繊維や不溶性食物繊維)と同等の働きをすることでも知られています。
世の中には色々なダイエット方法が存在し、ダイエットと言うと大変なイメージしかありませんが、このレジデントスターチダイエットは、炭水化物を冷まして食べるという、ただそれだけでできるので本当にお手軽でお勧めです。
特にこれからの季節は寧ろ炭水化物を冷やして食べたいと感じる時期ではないでしょうか?あまり難しいことは考えずに、温かい炭水化物より冷たい炭水化物の方が太りにくいという、ただそれだけの事実を頭の片隅に入れて生活していくだけでも、貴方の健康に長いスパンで役立つ知識となるでしょう。